研究テーマ

交通ネットワーク流の動的制御・管理手法

本研究室では,ネットワーク上の複雑な交通現象の特性を解明し,数理モデルとして表現し,最終的に渋滞を抑制する交通制御システムを構築することを目的としています.具体的には,大量の交通データに対して,最新のパターン認識や機械学習の手法を取り入れた実証分析や,ゲーム理論・待ち行列理論・確率論等を駆使した,数理モデルの理論的な研究を行います.

さらに,これらの成果を踏まえて,従来の信号制御・ランプ流入制御手法にリアルタイム情報を取り入れたより効率的な制御手法の開発や,近年の情報通信技術の発達を踏まえた即時的な通行権取引制度の構築を行っています.また,近い将来急速に普及が進むと考えられる自動運転やモビリティシェアリングサービスを考慮した渋滞抑制スキームも考案し,次世代の交通システムをデザインすることを本研究室では使命としています.

空間経済システムの予測・評価モデル

都市・交通施設を無駄なく適切に整備してゆくためには,空間的な広がりをもつ経済システム活動を定量的に予測し,さらに,施設整備の経済効果(便益/費用)を評価する(Cost/Benefit Analysis)必要があります. そのためには,交通ネットワーク・フロー均衡モデル,都市内の立地(土地利用)均衡モデル,空間的一般均衡モデル等,(経済学理論と整合性のある)様々な空間経済システムの数理モデルが必要です. これらのモデルをシステマティックに構築,解析,計算する方法を,計算機科学を活用しつつ,研究しています.

社会経済/物理的環境の不確実性を考慮した社会資本マネジメント

これまでに整備された社会基盤施設(インフラストラクチャ)を適切に運用し維持・管理してゆくことも,今後,ますます重要となる課題です. 本研究室では,そのための合理的な方法論に関する研究を進めています. 社会基盤施設は,長期にわたって利用されるため,将来の社会・経済・物理的環境の不確実性(リスク)に曝されるという特徴があります. そこで,本研究室では,そのようなリスクを考慮した上で,社会基盤施設の運用および維持管理オペレーションを最適に行う(Asset Management)ための方法を開発しています. これは,従来全く別分野の研究とみなされていた確率的制御理論(インパルス制御理論)や数理ファイナンス理論を活用,さらには発展させたものであり,先端的な数理工学の技術を駆使した研究成果です.