景観開花。企画趣旨

過去の日本では、高度経済成長期において早急な社会基盤整備が求められ、
場所性を無視した画一的な土木構造物が多数生み出されてきた。

しかし、インフラ施設がある程度拡充した現代では、
土木構造物においても量から質への価値転換が行われ、
風景との調和やその場所が持つ意味・役割にあわせた
土木デザインを求める機運が高まりつつある。

そこで「景観開花。」は、これまでに8回、様々な土木構造物をテーマに据え、
土木デザインに関心ある若者へその力を試す場を提供すると同時に、
多くの人々へ土木デザインの可能性を示すという目的をもってコンペを行ってきた。

2011年3月11日、折しも発生したM9.0という未曾有の巨大地震。
かけがえのない日常風景や、住み慣れた町の景色を一瞬で変えてしまった。
私たちの住む仙台も大きな被害を受け、
自然の猛威を前に無力感すら感じてしまう。

しかし、現在では徐々に再建へと向けた取り組みが広がりつつある。
今こそ、将来を担う世代である私たちが、土木構造物の新しい可能性、
そして私たちの暮らし方の未来について考えていく時ではないかと強く感じている。

そこで、昨年度から「景観開花。」は、
『まち』を主軸に据えたテーマ設定を長期的に続けていくことを決めた。
『まち』は、私たちの生活基盤であり、かけがえのない日常生活の舞台となる。

このような時だからこそ、様々な観点から改めて『まち』と向き合い、
これからの『まち』の在り方について長期的に向き合っていこうと考えている。
「景観開花。」を通してこの東北の地から発信されたアイディアが、
これからのより良い生活、そして復興の一助となることを願っている。